酒種酵母の「個性」と「頼もしさ」を再発見。3種の麹でパン焼き比べ
酒種酵母のレッスンをはじめて、もうすぐ4年になります。
レッスン中、生徒さんに「おうちの酒種は元気ですか?」と伺うことがよくあります。
まるでおうちの猫ちゃんやわんちゃんの近況をたずねるような気持ちで(笑)
大切に育てていると、不思議とペットのように愛着がわいてくるんですよね。
その、生徒さんからのお返事のおおくは「元気です」なのですが、時々うまくいかないケースもあります。
もっとも、そのような時は先にご自身からヘルプの質問をしてくださるのですが。
そんな中、最近わたし自身が起こした酒種で、いつもと様子が違うものがありました。これは良い機会なので、ちょっとした実験をしてみることにしました。
3種の米麹で比較した酒種の「個性」
今回用意したのは、こちらの3種類の麹です。
- みやここうじ(板麹)
- やまぶ(乾燥麹)
- ゆたか農場(生麹)
麹を混ぜた段階から、それぞれにはっきりとした「個性」が見えていました。
麹が水分を吸っていく様子、層の状態、そして発酵がピークに達するタイミング。ハッキリと違っていて、改めて興味深く観察しました。
左から順に「みやこ」「やまぶ」「ゆたか」です。
「みやここうじ」は板麹タイプのもので、ふわふわ乾燥して見るからに水分を吸う感じ。同じ重量なのに仕込んだ時点からカサがおおきいです。発酵が進むにつれ、ガスが麹の隙間に入り、さらにボリュームが増しました。できあがりの上の層も多め。発酵スピードが一番早かったです。
「やまぶ」は乾燥麹なので米粒がカチカチにかたく、比重も重め。最初から最後まで沈んだ米粒が多かったです。仕上がり目安のひとつ、「3層」が見分けにくい印象でした。(←この状態だったので検証してみたかったのです)でも、ふたを開けた時の圧力でちゃんと発酵しているのはわかります。発酵ピークはみやここうじの次にでした。
「ゆたか」生麹。水分が残っている分、水分を含んでいく感じはありませんが、発酵自体は順調でした。購入して開封直後で起こした時は驚くほど勢いがあったのですが、今回(冷凍保存後2回目)は初回ほどではなく、発酵のピークは3種で一番ゆっくりでした。これは予想外です。このあたりは、麹の種類で「生麹だから早い/遅い」と一概には言えないなと感じました。
酵母づくりでは、目に見える違いがありました。
一晩ねかせたあと、いよいよパンでの焼き上げ検証です。
「全粒粉カンパーニュ」と「ミルクブレッド」の焼き比べ
この3種の酒種を使って、ハード系とソフト系、両方のパンを焼いてみました。
「全粒粉カンパーニュ」
またまた、レース模様にしていますが(これがやりたくてカンパを焼く回数が増えました)、しっかり色づいて香ばしいクラストからの香りがしています。
パン作りの工程も3種同じ時間で進めています。
焼きあがりもほぼ同じ。
耳パリっと。クラムしっとりもっちり。おいしく焼きあがりました。
「ミルクブレッド」
つづいてソフト系。
やはり選ぶのは定番「ミルクブレッド」。
こちらも三つ子ちゃんかと思うほど、発酵もオーブンでの立ち上がりも同じでした。
焼き色がやや違うのは、オーブンの配置による焼きムラです。
酒種酵母の頼もしさに感動
ということで、結果はある意味予想どおりでした。
種起こしの時点では多少の違いがあっても、パンを膨らませる力やスピードはどれも安定している。ハード系でもソフト系でも、酒種酵母の頼もしさを改めて感じました。
体感的にですが、「一晩寝かせると安定する」というのが酵母起こしのひとつのカギだと実感しています。発酵スピードに差があった酵母も、一晩冷蔵庫で休ませることで、落ち着いて一定の力強さにそろってくるように感じます。これはあくまで私の感覚ですが、ひとつのヒントにはなりそうです。
皆さんは、材料の違いで「あれ?」と思った経験はありますか? 教室で、皆さんの「酒種自慢」やパン作りのお話もぜひ聞かせてくださいね。




























